3月11日の確定申告

                        田尻町天神前 吉田 稔
【本人の話】
 2011年3月11日は学習会の活動日でしたが、私は欠席して自宅に居ました。1月下旬に2週間入院したこともあって、3月15日の期限が迫っているの に、前年の所得税の確定申告が手つかずになっていました。二階の部屋の机の前に座って申告を取りまとめ中でした。
 その時大地震に見舞われました。大きく揺れた机からパソコンが落ちないよう思わず押さえていました。背後では書棚の立てた書物の天と上の棚の隙間に押し 込んであった小型本が飛び出しバラバラと落下しました。確定申告は中断です。パソコンと本の下敷きになっていたかも知れないと後で考えてゾッとしました。

 一階に下りると 食器棚の観音開きの扉が開き 陶磁やガラスの食器、酒器が落下して割れ足の踏み場がない状態になっていました。居間のテレビが前のめりに転げています。玄関では中東土産の石の大皿が床 で割れていました。表に出てみると、我が家の外観に異常はなさそうでした。向う三軒両隣にも大きな被害はないようです。「大丈夫ですよ」という声も聞こえ ました。津波があるかもしれないという想いが全く念頭に浮かばなかったのは反省事項です。


【家人の話】
 当日は、田尻ケ丘ゴルフ練習場の同好会が主催する40名ほどのコンペに出場しました。自宅から5kmのザ・オーシャンゴルフ倶楽部の17番でプレイ中で した。 ゴーと異音がしてフェアウェイが波打ったので、競技を中断しました。同伴者がプレイを続けるのを尻目に帰宅の途につきました。県道に出るまでの道 がひび割れたり隆起したりしていて、車の底部が何度かぶつかりました。県道日立いわき線を走行してなんとか帰宅できました。


【仲間の話】
 その日、日立市郷土博物館の自主グループ「郷土史を学ぶ会」の活動日に当っていました。9時半から14時頃まで 一階の集会室で「日立の絵馬」調査報告 の作成に携わりました。片付けをして玄関先に出たところで大地震に遭いました。博物館前の広場で「エーゲ海に捧ぐ」の像が揺らぐのを見ながら、手を取り 合って立ちすくんでいました。参加者は滑川町から森山町に至るまで全員無事帰宅しました。

補遺になりますが、グループが作業していた集会室の山側のガラス壁が割れ、床に亀裂が入りました。また真上の二階 特別展示室では天井が落ち展示ケースのガラスが破損したそうです。


【確定申告の後日談】
 結局 5月9日に日立税務署に出向いて確定申告を終えました。参考までにお役所からの通知を記します。
 (1)2011年3月31日付 日立市役所から災害支援などに関するお知らせ:
   所得税などの申告・納付の期限が「災害のやんだ日から2か月まで」延長されることになりました。
 (2) 2011年7月5日付 日立市報 東日本大震災に伴う税に関するお知らせ:
   延長していた国税、市税の申告・納付等の期限が7月29日になりました。  [了] 

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